6月は決算の書類作りで慌ただしい日々が続きました。いわば1年間の会社の成績表ですから、落第するわけにはいきません。とはいえ、余裕しゃくしゃくの優等生ではなく、毎年精一杯の努力をして及第点にして生き残ってきました。一昨年のように厳しい年もありましたが、今年はなんとか順調にこの時期を乗り越えたといった状況です。
生き残っていけるかどうかは、我が社が世間にどれだけ役に立っているかということと比例しているのだと思います。そのために乏しい能力を振り絞っているわけですが、決算書類づくりが一段落して少しほっとしていると、ふだんはあまり気にもとめない芸能がらみニュースが耳に入りました。
みなさまもご存じの有名歌舞伎役者さんの心中?騒動≠ナす。芸能界にも歌舞伎界にも、まったく詳しくないのですが、気になったのはワイドショーをはじめとしたマスコミ報道の姿勢です。そもそも、マスコミとはそういうものだと言われるかも知れませんが、何かあげつらうのに都合のいい相手を見つけたら、自分たちのことは棚に上げて世間を煽る態度は鼻につきます。
誰もが知る有名人のパワハラやセクハラ、さらに本人の性的嗜好がからんでいるとのこと。なるほど下世話な関心が湧きそうな要素が満載です。そのスキャンダルを掲載した週刊誌が発売される日に事件は起きました。歌舞伎界特有の問題とか、老老介護など家族の事情とか、本人の精神的な問題とか・・・背景にはいろいろな事情や問題があったようですが、人命がが失われた不幸な事件となってしまいました。
心中未遂なのか自殺幇助なのか、いずれにしても彼の取った行動は間違っていますが、彼や両親を追い詰めた「世間」というものを考えさせられます。
この事件を聞いて、ゴルフ好きの私はタイガー・ウッズのことが頭に浮かびました。ご存じの通り、ゴルフ界の超スーパースターだった彼は、尋常じゃない数の女性との不倫スキャンダルが発覚し世界中に恥をさらし、多くの非難を受けました。今回の日本の歌舞伎役者の醜聞とは比べ物にならない大スキャンダルでした。にもかかわらず、タイガーは2019年のマスターズで優勝するなど、奇跡的な復活を遂げています。
この間、タイガーとその周辺やアメリカの世論がどうだったのか知りませんが、何か日本の「世間」と違ったものがあるんだろうなと想像できます。もちろん本人の精神力や努力の賜物なのでしょうが、一度失敗したり過ちを犯したりしても、贖罪や更生を終えたら復活を許す社会の雰囲気がある気がします。
アメリカ社会には、キリスト教の特徴である「許し」の伝統があるのかも知れません。日本は大好きなとても良い国です。やさしい社会でもあると思います。ただ一方で、ひとたび過ちや失敗をやらかして「世間」に恥をさらすとレッテルを貼られ、「村八分」にされる雰囲気があると感じるのは私だけでしょうか。
セクハラやパワハラに対しては謝罪し、罪をつぐない、必要なら更生プログラムを受け、リセットして、タイガーのようにやり直せなかったのかと残念に思います。事件のきっかけになったという週刊誌の記事も読んでいませんので、的外れな部分もあるかと思います。決算の慌ただしさから解放された一方、梅雨のうっとうしさもあって、いろいろ考えさせられる何かもやもやした事件ではありました。
(誌面は「女性セブン」の目次ページ) |