3月の話題は、なんといってもWBCでの侍ジャパンの世界一! 先月のコラムで「楽しみ」と書きましたが、その期待を遥かに超えた大きな感動を与えてくれました。不振に苦しんでいた村上選手の逆転サヨナラ安打、決勝でのダルビッシュ→大谷の夢の投手リレー、4番を任された吉田の安定感、「ニッポン、ダイスキ!」のヌートバーの躍動・・・ニュースやワイドショーで繰り返し彼らの活躍シーンが流れますが、何度見ても飽きることがありません。
大会終了後のテレビ出演もそこそこに、選手たちはシーズン開幕に向けてそれぞれの所属チームに散っていきました。選手への賞賛が一段落すると、栗山監督の素晴らしさが語られるようになりました。
日本ハム時代から栗山監督のことをよく知る白井ヘッドコーチによると、栗山監督は「信じて、任せて、感謝する人」なのだそうです。考え抜いて方針を決め、一度決めたら選手やコーチを信じ抜く。たとえ結果が思わしくなかったとしても決して他人を責めないそうです。私心なく、周りのことや野球界のことを考えている「徳を積んだ人」だとも語っています。
それは、チームにキャプテンを置かず選手全員を信じて主体性に任せたことにも表れています。チームには花形選手も、控えで出番の少ない選手もいますが、全ての選手が自分の役割を理解し「世界一になる」ために一つになり、一切の不平もなかったといいます。確かに、インタビューでどの選手も「最高のチーム」と語り、それは見ている私たちにも伝わってきました。
美談に水を差すようですが、準決勝の対戦相手がアメリカからメキシコに変わったことが批判的に報じられました。これで日本とアメリカが決勝で戦うことが可能になり、アメリカでも大人気の大谷選手とメジャーの超一流選手との対決がフィナーレとなって、視聴率も上がるという裏事情があったのだろうと言われています。
このように、目的のために多少強引なやり方も通してしまうアメリカのビジネス感覚には驚きました。強欲資本主義との誹りも聞こえますが、結果的に試合は最高に盛り上がり、そこに文句を言う声はあまり聞こえてきません。
さらに驚くのは、その決定の理由の中心に大谷選手がいたことです。アメリカのメジャーリーグのルールや、WBCという世界大会のルールまで変えさせてしまう飛び抜けた存在であることが、ビジネスの観点からもわかります。もはや一スポーツ選手の枠を超えた存在です。
大谷選手自身もインタビューで、日本が世界で活躍することは韓国や中国などアジアの野球界に貢献することになるといった発言をし、日本へのライバル心をむき出しにする韓国からも賞賛されました。
栗山監督も大谷選手も、常により大きなビジョンや目的に意識が向いている、本当に器の大きな人物だなあと感銘します。
今、栗山監督の著書が売れているそうですが、卓越したリーダー論や人生論、教育論など、スポーツ界を越えて多くの分野から今後も注目されるでしょう。大谷選手も引き続き、誰も歩いたことのない道を歩き続け、驚きと感動を私たちに与えてくれるに違いありません。
(写真は優勝を報じるスポーツニッポンの号外) |