「暑さ」に、これまで聞いたこともない「命に関わる危険な」という形容詞が付きました。連日のニュースでこの言葉が繰り返されています。
暑さだけでなく、自然災害も続きました。6月には大阪北部で地震があり、高槻の小学生の女の子が自分が通う学校のブロック塀の下敷きになって亡くなるという痛ましい被害がありました。
7月はじめには、西日本を豪雨が襲いました。とにかくこれまでにない量の雨が、広い地域にわたって降り続き、200人以上の人々が犠牲になっています。経済的な被害も大きく、被災地の復興には長い時間がかかりそうです。
神戸でも灘区の篠原台などで土砂崩れが起き、私の親しい友人も避難を強いられるなどして、しばらく生活に支障をきたしました。垂水区では山陽電車の線路に土砂が崩れ落ちるなどの被害がありました。
最近は特に自然災害が多いように感じますが、日本は昔から自然災害の多い国でした。防災の専門家のお話を聴いたことがありますが、この自然災害が日本人の人生観にも大きな影響を与えているといいます。
長い歴史の物差しでみると、ヨーロッパや中国に比べて日本は、災害による死は多くても、戦争による死は多くありませんでした。災害による死も戦争による死も、理不尽な死です。しかし、戦争などの殺し合いでは恨みや憎しみが大きくて、死を受け入れることが難しいのですが、自然災害では恨む相手がなく、あきらめて受け入れざるをえません。そのため、恨みや怒りにエネルギーを使うよりも、無念ではあっても死を受け入れて、その分、鎮魂にエネルギーを使ったというのです。
この話をしていたのは、神戸の大学の先生で、東日本大震災が起こって間もない時期から、学生を連れて被災地ボランティアを続けています。週末に2日ほど行くだけのボランティアは、実務としては多くのことはできませんが、「鎮魂」のためには大きな意味があるといいます。亡くなった方のたましいを鎮め、被災者の方々のたましいを元気づけることがボランティアの第一歩だからです。
阪神淡路大震災を経験した私たちも、そのことは実感します。理不尽な災害で一瞬に多くの人やモノを失った被災者は、全国や海外からも多くの支援があるという事実に、心を支えられました。
日本は自然災害の多い国であるがゆえに防災の研究に力を注ぎ、発展途上国に対する防災技術の支援にも力を入れています。そんな中この6月、JICA(国際協力機構)の事業で、ブータンを訪れていた一人の日本人の防災研究者が現地で急逝しました。仏教国であるブータンでは、遺体が帰国するまでの間、国王の指示で昼夜にわたって手厚い読経が続いたそうです。ブータンは、日本人の貢献に国を挙げて感謝の意を表している国のひとつです。
自然災害は、日本に多くの被害をもたらしてきましたが、それによって培われた人生観や他者を思いやる精神が、国内だけでなく世界のために生かされることが鎮魂にもつながるように思います。
「おかげさま」とか「生かされている」という考え方も、自然災害と共に生きてきた日本人が培ってきた人生観に由来しているのだと思います。
このほど、わが社は無事に13期目の決算を終えました。まさに「おかげさま」で「生かされて」きた14年間であったと感謝の思いを新たにしています。 |